• 竣工:
    2025年1月(予定)
    用途:
    専用住宅
    構造/規模:
    木造2階建て
    所在地:
    宮城県仙台市青葉区

「動と静を緩やかに繋ぐ架構」

敷地は、仙台市中心部と北部のベッドタウンを結ぶ交通量の多い幹線道路と緩やかな水流の河川敷に挟まれた位置にある。幹線道路は、車が絶えず走り、時の流れが速い環境である。一方で、草が生い茂る河川敷は、まるで時間が止まってしまったかのようである。
表と裏で、全く異なる時間が流れているような敷地に対し、動と静、パブリックとプライベートが緩やかな境界によって同居する架構を考えた。
クライアントは、海外製のビンテージバイクをビルドアップすることを生業とし、自身の作品であるバイクや趣味の車を格納する空間と、平家のように同一平面で生活が簡潔する住まいを求めていた。
地盤が軟弱であることから、基礎面積を極力小さくし、水平力を負担するコアと柱・頬杖によって住空間を持ち上げる高床形式とすることで、バイクや車の移動に制約が少ない大きな軒下空間を構成している。コアと柱、頬杖によって持ち上げられた内部空間は、幹線道路側に水回り、ウォークインクローゼット、寝室といった閉じた空間を配置し、幹線道路からの喧騒から距離をとるように河川敷側にリビングを配置した明快な平面構成としつつ、梁から上の小屋裏空間を、一室空間とし、中央に配置したハイサイドライトによって、両空間を繋げ、白か黒の二項対立とはことなる緩やかな関係性を築いている。
また、大きな軒下空間は、コアと樹状の柱によって幹線道路と河川敷に緩やかな境界面を構成し、建主の生業が幹線道路側に滲み出るようにバイクギャラリーを設け、河川敷側にはアウトドアリビングを設けた。隣接するアトリエを訪れたバイクオーナーや、河川敷を散歩する人々がふらりと立ち寄る軒下空間は、幹線道路と河川敷の狭間にあるこの敷地ならではの、動と静、パブリックとブライベートが混在する大きな屋根のような建築である。

設計日誌