• 竣工:
    2014年11月
    用途:
    専用住宅
    構造/規模:
    木造在来工法/地上2階建て
    所在地:
    仙台市青葉区
    撮影:
    小関克郎
  • 新建築住宅特集2016.06号掲載

    Replan東北vol.48掲載

地理的設計素材1:真南に高さ3mの擁壁が建ち、さらにその上に賃貸アパートが建つことにより、冬季地面に全く陽光が差さない敷地である。
地理的設計素材2:南北に走る谷の中腹に位置し、東に開けた敷地断面である。
地理的設計素材3:南東から谷に沿って吹き抜ける風がある。
住宅を建てるには不向きに思われた敷地に対し、3つの地理的設計素材を活かすことによりその敷地にある環境エネルギーと建築の関係に相応しい形態を目指したのが瓦山の家である。
大きく捉えて瓦山の家は、風の抜ける谷(ホール)とそこに沿う大地のようなヴォリューム(リビング、ダイニング、キッチン)、風の抜ける谷に孔を開けた洞窟(寝室、ロフト)といった構成としている。
各構造スパン毎に生活スペースとトップライトを配置し、風の抜ける谷に沿うヴォリュームを東西方向に「くの字」に構成されたスキップフロアとすることで、冬季の陽光を確保し、東側の眺望に対し適度な距離を確保している。各スパンに設けたトップライトにより空気温度のグラデーションが生じる。冬季はより暖かい高いレベルのフロアーで過ごし、夏季はトップライトに葦簀を配置することで、直射光を適度に遮断し、ファサードから外部に引き伸ばされた北の壁面により南東から吹く風を効率よく取り入れ強制的に排熱する。「くの字」の折れ点にキッチンを配置することにより、季節に応じた室内の温熱環境に合せて生活スペースを上下移動する。