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- 竣工:
- 2018年9月
- 用途:
- 専用住宅
- 構造/規模:
- 木造在来工法/地上2階
- 所在地:
- 仙台市宮城野区
- 撮影:
- 小関克郎
敷地は、仙台市中心部の住宅街の中を流れる梅田川沿いに位置する。計画地には、家主が手塩にかけて育てたレース鳩が羽を休める鳩舎が建っていたが、それを取り壊し、母屋に隣接する若夫婦の離れを新たに作る計画である。
鳩は、非常に清潔な動物であり、鳩舎の環境がダイレクトに体調に影響する。通風は、鳩舎内を行きわたらせ、糞を早期に乾燥させることから病原菌の繁殖を防ぎ、鳩舎内の嫌な臭いも取り去ってくれる。また、太陽の光は、滅菌効果があることで、病気予防に役立つなど、鳩舎のユニークな形態は鳩の生態による環境的必然性から生まれている。
そこで、この地に建っていた鳩舎に対する家族の記憶とこれから加わる新たな家族との未来をつなぐ住まいの形態を導き出すことを試みた。
敷地は、前面道路からアプローチに沿って緩やかに1m程上昇し、母屋の庭、玄関がある。親世帯と子世帯が形式的に挨拶を交わすのではなく、家を出入りする中で自然と関係が築けるように庭を挟んで互いの玄関を配置し、渡り廊下でつないだ。
エキスパンドメタルの手摺や、巣箱のような収納、スノコ床、風の流れと光の移ろいなど、住まいを構成するいたるところに鳩舎の記憶を繋ぐ要素を引用している。